池がある家に住むこと。それが子供のころの夢。
しかし現実は厳かった。でも池を持つ夢は諦めきれない私は玄関先のデッドスペースに池を作ることにしました。直径50センチぐらいの池を。
「そんな小さな池ができたとして魚は入るの?」入ります!小さなメダカなら何匹も。「水換えとか面倒臭いんじゃない?」大丈夫!ほぼ水換え不要で手間いらず。
睡蓮鉢ビオトープを使って玄関先に池を作る方法を教えます。作ろう俺の池あなたの池。
メダカビオトープのメダカ飼育は手間いらず
睡蓮鉢でメダカや水草を育てるメダカビオトープ
玄関先で作れる小さな池
玄関先に池を作ると言っても、地面を掘って池を作るわけにはいきません。ここは睡蓮鉢を使った屋外でのメダカの飼育環境、すなわちメダカビオトープを俺の池とします。
まずは仕上がりをご覧ください。これが俺自慢の池です。誰が何と言おうとこれは俺の池です。
あなたも自分の池を作ってみませんか?
メダカブームが継続している
特に美しい改良メダカがブームを牽引しています。
ニシキゴイや金魚のように品種改良が行われ、色とりどり、姿かたちも様々なメダカがどんどん生み出されています。あなたが小学生のころに育てていたかもしれない薄オレンジ色のメダカとは次元が違う姿のメダカもたくさん。
わずかなスペースとコストではじめられる
僅かなスペースに設置可能
メダカならニシキゴイのように広い池は必要ありません。
戸建ての玄関先やマンションのベランダなど50センチ四方の狭いスペースがあれば飼育容器が置けます。金魚のように酸素供給のためのブクブクも必要ないから、コンセントの位置にも縛られません。
低コストで始めて低コストで続けられる
最低限水が貯められる容器と安い品種のメダカならお金もたいしてかかりません。必要な道具とメダカ本体を含めて2,000円前後ですべてが揃います。
そして条件が整えばほぼ放置のメンテナンスフリーで飼育できるから手間もランニングコストもかかりません。水質の問題が起こらない限り1年間ほとんど水換え不要、さらに環境が整えばエサやりすらも不要にできます。これは屋外での飼育だからこそ実現できること。
睡蓮鉢以外にもいろいろな容器が使える
飼育容器の定番は睡蓮鉢
睡蓮鉢はその名の通り本来は睡蓮などの水生植物を育てるための容器で、本来は陶器製のものです。
今では屋外でメダカの飼育容器として使われるのが定番となっています。
水が漏れない容器ならなんでも使える
しかし必ずしも睡蓮鉢でなければいけないということはありません。
ある程度の水量が確保できる深さと広さ、そして水が漏れない構造であればなんでも使えるんです。なんならバケツやタライでも。
栓で底を塞ぐことができるものなら家庭菜園用のプランターでもOK。セメントなどの資材を混ぜるためのトロ舟、プラ舟もメダカ飼育の定番。
容量が大きいので、暑い季節になればこんな風に植物をたくさん配置した賑やかなビオトープを作ることができます。
屋外のメダカ水槽として使えるアイテムはこちらで紹介しています。
そもそもビオトープってなに?
メダカの屋外飼育自体をビオトープと呼ぶ傾向
ところで「ビオトープ」ってなんでしょう?
その言葉の意味を調べると、ドイツ発祥の概念とか造語などという情報がでてくるはず。本来の意味はそれに違いありません。
一方で屋外でのメダカ飼育環境そのものをビオトープやメダカビオトープと呼ぶ傾向があり、厳密には間違った呼び方です。しかしそれはそれで今の正解ともいえます。
小さなスペースで飼育環境が成立する
とはいえたった50センチ四方の小さなスペースで飼育環境が成立するのか?しかも家の玄関先なんかで?そんな疑問はごもっとも。でも環境が安定していくことで、水換え不要、エサやり不要、ブクブク不要という環境ができあがります。
なぜこんな環境が実現できるのか?そこには屋外ならではの理由があります。
なぜ水換えなしでメダカが育てられるのか?
屋外なら自然に環境が整うから
屋外でメダカを飼育してしばらく時間が経過すると、環境が安定して小さな生態系ができあがります。これにより水換えなどの手間が不要な環境が成立するのです。
水が自然に浄化されるから水換え不要になる
屋外飼育開始からしばらく経つと水中のろ過バクテリアが増加し、メダカの糞などから発生した有害なアンモニアを毒性の低い物質に分解します。その毒性が低い物質は水草の生長に必要な肥料として吸収されます。
これにより水が浄化され水換えが不要となります。
自然発生するからエサが不要になる
水面に落下した虫、蚊などが産卵して発生した幼虫はメダカのエサとなります。
空気中から取り込まれた植物プランクトンが増えた結果、飼育水が緑色に染まることがありますが、これもまたメダカのエサとなります。
水面から酸素が取り込まれるからエアレーションが不要になる
メダカが生きていくために酸素は水面から取り込まれ、水面の表面積が大きければ大きいほどたくさんの酸素が取り込めます。室内の水槽で使われるブクブクは、水面で泡がはじけることで水面の表面積を増やします。
屋外では風が吹いて水面が揺れることで表面積が増え、メダカが生きていくのに十分な酸素を供給することができるのです。
水換え不要な環境が成立する理由について詳しくまとめています。
メダカビオトープに必要なアイテム
予算2,000円から始めるメダカビオトープ
低コストではじめよう
この記事では「低コストではじめる」ということを重視してビオトープの環境を整えたいと思います。
安定すればわずかな水道代とエサ代ぐらいしかランニングコストがかからないので、環境さえ整えてしまえばこっちのもんです。
必要な用品リスト
最低限必要なものは以下の通り。
最低2000円からはじめられる
このリストの中で価格差が出やすいのは飼育容器とメダカ本体。
陶器製の睡蓮鉢になると最低3,000円からになってしまうので、まずはおうちにあるなんらかの容器を使えば実質無料。メダカは希少なものになると1匹数万数千円になります。慣れないうちは死なせてしまうことがおおいので安い品種を選べば1匹100円程度です。
まずは2,000円を目安にしてはどうでしょうか?
飼育容器は容量が大きいほどいい
水量に対してコスパが高いのは園芸用プランター
安さ重視で選ぶと、園芸用のプランターで底穴が完全に塞げるものが最もリーズナブル。
このように付属の栓で塞げるようになっています。ホームセンターに行けば20リットルぐらいのサイズが500円ぐらいで買えるはず。
睡蓮鉢の形に近い円形のプランターもおすすめ。
似たような形状でメダカ専用の樹脂製容器もいろいろ売られています。
水量が多ければ多いほど飼育は安定する
ここでひとつ重要なポイント。
容器に入る水量が多ければ多いほど飼育環境は安定します。水質の悪化、急激な水温の変化、これらネガティブな要因が進行するスピードが遅くなるからです。設置スペースが許す範囲で、なるべく水量が多くなるものを選ぶようにしましょう。
また、酸素をたくさん取り込めるよう開口部が広くて水面が広くとれるすり鉢型が最適。加えて、水温が安定するよう15センチ程度の深さが確保できる形状が望ましいです。
屋外メダカ飼育で使える容器についてはこちらにまとめています。
底に敷く底床は園芸用の赤玉土が定番
土を敷くことで水が浄化される
睡蓮鉢の底には底床と呼ばれる土や石を敷き詰めると水質が安定します。底床を使うことで水に接する表面積が広がり、水の浄化に不可欠なろ過バクテリアが定着しやすいことがその理由。
赤玉土が最もリーズナブル
メダカ専用と称したものも売られておりそれはそれでいいものですが、リーズナブルに仕上げるという観点なら園芸用の赤玉土がベスト。ビオトープの底床としては大定番です。
赤玉土が定番になっている理由はこちら。
ホームセンターならずっしり十数リットル300円ぐらいで売られています。100円ショップで2リットルほど入ったものがあります。大粒、中粒、小粒という粒のサイズバリエーションがありますが、オールマイティな中粒が使われることが多いと思います。
最初に用意する水草はこの2種
ホテイアオイとマツモがあればいい
ろ過バクテリアによって処理された水の汚れは、最終的に水草の肥料として吸収されます。だから水草は安定した飼育に不可欠。選択肢が膨大なので、まずはこの2つを用意しましょう。
いずれも買ってきたものを容器に放り込むだけ。暑い時期ならどんどん増えます。ホテイアオイとマツモ。まずはこの2種を導入すればビオトープの安定に貢献します。
水草栽培もメダカビオトープならではの魅力のひとつ。余裕が出来たらいろいろな水草を入れて楽しみましょう。
おすすめしたいメダカのエサ
最初は長く浮いて水を汚しにくいエサを
早く大きく健康に育てたい、産卵をどんどんさせたいのであれば、やはり市販のエサが有用。
メダカ専用エサは種類が豊富で、色が濃いメダカの色をより濃くする色揚げ用のエサなんてのもあります。目的に合わせて選ぶといいでしょう。
初心者には長時間水に浮いて水を汚しにくいエサをオススメします。その観点でいくとこれが一番おすすめ。
飼育水は水道水を使おう
クリーンな水道水が最適
飼育に使う水は水道水で構いません。
むしろ雑菌や有害な成分の心配がない水道水のほうが、川の水や湧き水、井戸水を使うより安全です。というわけで基本は水道水を使いましょう。
カルキは屋外ならすぐ抜ける
ただし汲みたての水道水には塩素が含まれており、これはメダカにとって有害です。そこでいわゆるカルキ抜き、塩素を抜く作業が必要とされています。
ただ屋外なら太陽光にさらされることで室内よりかなり早く塩素が抜けていくので、わざわざカルキ抜きの薬剤を使うまでもないと思います。
実際のところ私は屋外飼育でカルキ抜きを使ったことがありませんし、面倒な時は足し水をするときもそのまま水道水をホースで注ぐことすらあります。それでメダカに害があるという実感はないというのが正直なところ。
最初のメダカはこの3種から選ぼう
安くて強い3種のメダカ
おそらく飼育初期はメダカを死なせてしまうことが多いと思います。
数千円で買った美しい改良メダカを死なせてしまうのはしのびありません。そこでまずは安くて強い品種から始めてみてはどうでしょうか?それがこちらの3種。
安いからといって死なせていいわけではありませんが、まずはこれらの品種で慣れてから高価な改良メダカの導入をおすすめします。
クロメダカ
クロメダカは、メダカ原種となる、もしかしたら昔はその辺の用水路や田んぼにいたかもしれないメダカ。
「黒めだか」といいながら日光にあたると黄金色にみえたりして、地味ながら美しいメダカです。
とはいえ、売られているクロメダカはあなたがお住まいの地域に住んでいるメダカとは遺伝子的に異なるはず。さきほど「原種」と表現しましたが、お店で買ったクロメダカはもう自然に生息しているメダカとはかけなはれた別物と考えるべきです。
だから放流は厳禁です。
アオメダカ
涼しげな色をしたアオメダカ。
アオメダカという名前からイメージするほど青くはありません。
言われてみれば青っぽいかな?という灰色がかった青さと口先から背中を通って尾まで貫く黒いラインが特徴。これはこれで奇麗だと思いますし、繁殖させているうちにラメっぽいキラキラしたウロコを背負う個体も出てきやすい。
シロメダカ
そして名前の通り白いシロメダカ。
どことなく上品な雰囲気で、藻が生えて黒っぽくなりがちな睡蓮鉢に映えます。安価なメダカの中で最も美しいメダカといえるかもしれません。
3種を混ぜて飼っても大丈夫
以上の3種なら健康状態がいいメダカがリーズナブルな価格で手に入るはずです。見た目は違えど交配はできますので、混ぜて飼っても繁殖させられます。結果としてどちらかの特徴を引き継いだように見えるメダカが生まれたり、いかにも雑種らしいぶち模様のメダカが生まれたりします。
それぞれの色や特徴を保ちたいなら混ぜずに分けて飼いましょう。それでも一定の確率で意図しない色や形のメダカが生まれますが、それはそれで楽しみたいものです。
メダカと一緒に飼いたい生き物
メダカと一緒に飼うことでよりよい環境を作ってくれる生き物がいます。
ヒメタニシ
代表的なものはヒメタニシ。
摂食ろ過というエサの食べ方をするため、植物プランクトンで緑色に濁った水を吸い込んでは濾し取り、澄んだ水を排出します。ときに鉢の中に生えた苔類もハムハムしながら掃除してくれる、メリットしかないヤツ。
お店では1匹数十円という価格で売られています。何匹か買ってオスとメスのペアが含まれていれば勝手に繁殖します。卵を産み付けず、そのまま貝の形で子どもが生まれてきます。
在来種で寒さにも強いので、屋外の環境でも問題なく越冬できます。冬場は底土に潜りこみがちなので全滅したかと思いがちですが、春になれば元気に活動を再開します。
ミナミヌマエビ
エビ類。おすすめはミナミヌマエビ。
関西の釣りエサではブツエビとしてお馴染みの完全な淡水エビ。メダカのエサの食べ残しなどを小さなハサミでツマツマ摘まんで掃除をしてくれます。これも数匹入れておけば勝手に繁殖して爆増します。孵化した稚エビはメダカのエサにもなります。
寒さにも強いのでこちらも屋外で問題なく越冬可能。
ペットショップなどで買うと1匹数十円ぐらい。川や水路で採取するのも容易で、三方をコンクリートで固められた人工的な用水路でも壁にびっしり群れていたりします。用水路がある環境なら覗いてみてください。
金魚との混泳は避けよう
環境を荒らしてしまう
こうなると他の魚も一緒に入れたいという気持ちがわいてくるでしょう。しかしこれについては慎重になったほうがいいと思います。
例えばお祭りの金魚すくいで掬ってきた金魚。
小さなうちは大丈夫ですが、あっという間に大きくなり、鉢の中を荒らすようになります。実際やってみて失敗したから分かるのですが、金魚は底の土を吸い込んでは吐く習性があり、メダカの鉢の中に赤玉土の泥が舞って見た目がとても悪くなりました。
睡蓮鉢ビオトープの立ち上げ方
必要な道具が揃ったらビオトープの立ち上げをしてみましょう。これに適した時期は気候が安定するゴールデンウィークです。連休を利用しての立ち上げ作業をおすすめします。
屋外のメダカ飼育は季節を楽しめる趣味
睡蓮鉢は季節によって全く違う表情を見せます。
たった数十センチ四方のスペースに日本の四季が反映され、それぞれの季節に違った楽しみ方を見出すことができる。そして日々の生活にメリハリを与えてくれます。
めっちゃいい趣味だと思いませんか?少なくとも私はそう思います。慣れてくれば繁殖も容易で、どうしようか困るほどにメダカを増やすことも。
狭いスペースで安く手軽にできるメダカビオトープ。あなたも始めてみませんか?